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平和職人の朝は早い


夏は3時

冬でも4時に起きて仕込みを行う



この時間から仕込みを行わないと平和の鮮度が一気に落ちるからだ


かつてそのセイで何十万人が死んだ事を

職人は今でも悔やみ続けている


あの日


あの時

あと30分起きるのが早ければ

あんな事には・・・。



平和職人は まずそうに煙草の煙をぷかりと上に吐き出しては

かすれた声で言った



最初の工程は「抽出」だった。

平和の素となる〝グランゲーニョン”は、植物の一種で、栽培規制こそされていないものの、

厳しい統制下に置かれている。

事実上の規制だ。

と、いうのもこの植物は扱い次第では平和どころではなくなるからだ。



職人は屈託ない笑顔で言った


「まぁコンニャクゼリーでも喉詰めますから。」


前日から水に漬けておいたグランゲーニョンを十分に水を切ってから

すり鉢へ移し、一気に磨(す)り上げる。

そうすると、ピンク色だったグランゲーニョンは、空気と触れる事で淡い紫色に瞬時に

変色する。

このタイミングが重要だという。


「このね。色が変わる瞬間が平和かどうか。左右するんですわな。まぁわしもよーわまりませんけど。」


色が変わった瞬間、職人は、グラニュー糖とコケモモの汁を放り込む。

そしてそこから2時間。

ひたすら磨り続ける。

職人のひたいから 汗が流れる。



雨の日は湿度が高まるため少し短めに磨るのがコツだという。


こうして出来上がったペースト状の物体が「ピースマター」だ。

おおよそ、100本のグランゲーニョンから出来上がるピースマターはわずか2グラム。



ここからが本番だ。

平和への加工が始まる。


平和作成の工程は大きくわけて3つのパートに分かれる。

1つ目が、ピースマター作り。2つめが、ピースマターに20種類の薬草を加える”転嫁”の工程。

そして最後が「祈り」だ。

職人が最も重要だというのが最後の「祈り」の工程だという。



「まぁ。あの。祈りっていっても。誰しもね?祈れるわけですけども。」

「そこに、その。対象物を入れないというか。誰に対して祈るとか。」

「そういうのを入れないのがなかなか難しいもんでね。」

次回は、この祈りの工程を詳しく説明したい。


~続く~
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