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【小説?日記】にわたま【長文だし無理して読まないほうが吉】
ちょっと前、久しぶりに奈良の実家に帰りました。

奈良と言ってもまぁ 色々ありまして

幼少期には今の実家とは違う場所で あちこち 

住んでました

その頃の話に。





生まれ育ったこの町を離れてから22年。

僕は22年ぶりにこの町に帰った。


父とたまたま近くを通りかかる用事があったので久しぶりに 奈良の一つの町に帰ってきたんです。



懐かしい景色を記録しようと、僕は右手にカメラを持ってあちこち撮影していた。

すっかり変わってしまった場所。

全く変わらない場所。

すべて見上げていた景色。

あの時景色はみんな見下ろして僕を見ていた。

当時の“小さな”視点での記憶のスケールと現在のスケールとのギャップがなおさらその記憶を懐かしく感じさせました。

子供の頃、湖だと感じていたのはただの池だった。

子供の頃、大通りだと感じていたのはただの小道だった。

一見してその記憶の風景だとは気づかずに通り過ぎようとするが、

一定の記号がその風景の数箇所にちりばめられていて、それが“その場所”だと気づいてハッとする事も何度か。

泣いたこと。喧嘩したこと。怒られたこと。

その時の田んぼの匂い。虫の鳴き声、犬の遠吠え。その瞬間、すべてがまるで封を切られたかのように当時の記憶が飛び出してきた。 

涙もろい僕はただそれだけでまた涙を浮かべていた。


そんな飛び出してきた記憶の中の一つ。

当時、この場所で仲の良かった女の子の記憶だ。

猫のような顔をした女の子だった。そのため、あだ名は山猫。記憶は続け様に夏の暑い匂いと共に鮮明に僕の頭をぐるっとした。

今はどうだかしらない。だけど、当時の小学生低学年というのは、たいていの男の子は恥ずかしさのあまり女の子を遠ざける傾向があった。

女の子にわざと汚い言葉を投げつけたり、女の子の友達がいる男の子をやたらひやかしたりしたものだ。

にもかかわらず、当時の僕はこの女の子とよく遊んでいた。遊ぶといってもまだ子供。砂遊びだの、森探検だの。

 
ある日、その子の家に遊びに行ったことがあった。

そこには大きなニワトリが1匹と、とっても小さなヒヨコが1匹いた。初めてヒヨコを目の前にしてかなり興奮したのを覚えている。

本当にかわいかった。

僕は壊してしまいそうで恐くって、人差し指でチョンチョンと撫でた。

女の子は、また見に来てよと、小さく言った。それから僕はその子の家によく行くようになった。(モテモテェ)


その子の家は結構お金持ちで、遊ぶものはいっぱいあった。だから飽きることはなかった。
 
何度か遊びに行くうちに、そのひよこがだんだん大きくなってきた。ヒヨコとは不思議なもので、大人のニワトリと同じような大きさになってもまだ全然ヒヨコの形をしている。

黄色い体に小さなくちばし、そして大きな体。ひょっとしたらこいつ、ずっとこのままなんじゃないか?なんて思った。でも、その子は言った

「もうすぐ白くなるよ」

楽しみだった。また来るのが。どこからかピアノの音色が聞こえた。(隣の家はピアノの教室だったらしい)

そんなある日、学校の授業中こんな事があった。
 
僕はその子の斜め後ろの席に座っていた。いつものように教科書に落書きをしていると、何か音が聞こえてくるのに気づいた。
 
“チョロチョロ”
 
と水の流れる音だ。
 
何の音だろう・・・外は晴れているのに水の音?不思議に思ってあたりを見回していた。だが、その音の発信源は見つからない。まわりの子供達もにわかにざわめいていた。
 
先生は気づかずにそのまま元気に黒板に力強く何かを書いている。黒板に叩きつけられた白いチョークが小さな破片となってパラパラと下に落ちた。
 
次の瞬間、泣き声が聞こえた。みんな一斉にその泣き声の主の方へ顔を向けた。
あの子だった。あの子が泣いていた。小さく肩を震わせながら泣いていた。そして、その瞬間、みんながその音の理由に気づいた。そして泣いている理由にも。

 
その子が座ったまま漏らしていたのだ。
 
泣き続ける女の子。そしてひやかす周りの男の子。僕は呆然と見ていた。呆然と見ていた筈だった。だけど・・・。いつしか一緒になってその子のことをひやかしていたのだ。
 
この当時の子供達は何の躊躇もなくそういった事に対し激しい罵声を浴びせる。そして以後もその事をしつこく相手に投げつけ、まるで相手がそれそのものであるかのように振舞う。まして、授業中の粗相なんて最高のネタだったのだろう。

雰囲気に呑まれたなんていう言い訳はしたくはないが、無意識に僕も一緒になってひやかしていたのだ。

 
粉にまみれた手で先生はあわててその子を椅子から立ち上がらせた。

泣きながら先生に保健室に連れて行かれる女の子。

教室を出る前に、僕の事をちらりと見たのを、今でもよく覚えている。

その時の僕の顔は間違いなく・・・・笑っていただろう。

僕とその女の子は間違いなく仲がよかった。

そしていっぱい遊んだ。いっぱい話もしたしいっぱい笑ったのも覚えている。

その子の家にはニワトリと、そのニワトリと同じような大きさのヒヨコがいる。

そのヒヨコがいつ白くなり、大人のニワトリと同じ姿になるか、楽しみだった。だけど・・・。それから、僕はその子の家に行く事はなくなった。

そして間もなくクラス替えがあり、会う事も無くなった。

所詮子供だ。そんな複雑な事は考えられない。

ただの、流れていく友達の一人に過ぎなかったのだろう。簡単に友達は変わり、そして新しい記憶により薄められ、まるで堆積していく土のように深く、じめじめと僕の記憶から消えていった。

 
僕はその事があまりにもリアルに思い出されて、車の中で妙に感傷的になっていた。そう。あれはそれ程前の事だった。まだここで遊んでいた頃のこと・・・・。


そんな時、とても見覚えのある風景が目の前に現れた。

そうだ・・・・・。そうだ・・・・・。そこの曲がり角・・・・。曲がったところ。
 
あの子の家だ・・・
 
思わず僕は車中で無言になった。
 
もう、その子の家なんてないだろう。
でも、何故かあって欲しいと思ってしまう。だけど、その家があったところで、もう違う人が住んでいるかもしれない。
 
ゆっくりと車が進み、角を曲がった。あった。あの子の家だ。水色のタイルが張られた塀に、ぐるりと囲まれたオシャレな家。あの時のままだった。
 
表札には、あの子の苗字がしっかりと刻まれていた。
運転する父にどれだけ車を止めてくれと言いそうになったかわからない。

だけど、今行って何を話すのだろう。

向こうはもう全然覚えてないかもしれない。

僕だって飛び出してきた記憶の断片を偶然拾っただけだ。

いや、それよりもう、その子自身はここにはいないかもしれない。

そう考えているうちにその家は小さくなっていき、やがて視界から消えていった。視界から消えてゆくその刹那さえ懐かしく思えた。

情けない話だが本当に泣きそうになった。

 
あの大きなヒヨコはどうなったのだろう・・。ニワトリになって次のヒヨコを産んだのだろうか・・。あの子は元気なのだろうか。
 
笑った事を許してもらえるだろうか
 
さぁ、そろそろ帰ろうという父の言葉に答えるともなく、僕は小さく聞こえないような声で
 
“ごめん”
 
とつぶやいていた。
 
気が付いたらまた 22年が経過していました。

というね。

勝手に感傷に浸って書いた文章でした。

わざわざ読んでくれた人には申し訳ない限りでごわす。



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幼い頃って
ついつい残酷な事やっちゃうよね
んで物心ついて
取り返しつかない頃にかなり後悔してんの。
  • 和尚 さん |
  • 2008/09/22 (01:07) |
  • Edit |
  • 返信
えっと…
オチは…?

というのは冗談で、
子供の頃って何も考えずに行動するもんねぇ。
相手の気持ちなんてもちろん考えもせず。
で、成長して思い出すと後悔すると…
  • どすこ さん |
  • 2008/09/22 (08:15) |
  • Edit |
  • 返信
>re
>和尚さん
最初の残酷なことは
虫を躊躇無く殺すこと
それから 人の気持ちが理解できないままの行動にうつるという
今思うと 頭抱えることがおおすぎるよ

>どすこさん
子供は本能のみが前にでるよね
小学校の頃はファミコンが全盛期で、いかにして最新のゲームをするかが全てで、それに関してはどんな労力も惜しまなかったなぁ・・
なんだこれ
鼻の奥がツンとした。
  • たこ さん |
  • 2008/09/23 (01:35) |
  • Edit |
  • 返信
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