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【小説】銀河鉄道②
中に入ると 想像していたよりも小奇麗で 驚いた


壁にはいくつかの 古めかしい振り子時計が吊るされていて


それぞれ 数分程ずれてはいるが、ゆっくり確実に動いているようだった

一見すると アンティークショップみたいだ


オレンジに光る 電燈だけが その部屋を照らしていた


老人は コーヒーを入れ終えると

部屋の隅にある 木の椅子に座る僕のところまで

やってきて 持たせてくれた


「すみません。中におじゃままでしちゃって・・・」

「いや。丁度 話あいてが欲しい時間帯だ。まぁ飲んで。」



「あの、銀河鉄道って・・・。」


「何を聞いてきたかしらんが、君に教えた人間は軽率な奴だな。」

「はぁ・・」


「知っとるだろう。空を飛ぶ 列車。銀河鉄道。」


「え、ええ。それは知ってます。アニメや小説でも良く・・・。」



「そう。まぁ、本当はあれとは ちょっと違うが似たようなもんだ。」


僕は改めて 考えた

ドラッグか・・・・  何かのアトラクションか・・・
それとも、宗教か?



「それに、乗れるんですか?」

僕は 少し半笑いで問いかけた

「乗りたいのか?」


何か突き刺すような返事

僕は言葉に詰まった

「まぁ、やめとけ。君はそういう人間ではない。」

そう言いながらも老人は少しがっかりした様子だった

「そういう人間では無いって・・一体・・・」

早く答えが欲しかった

同僚と飲んだときから 喉の奥に骨がささったかのような

違和感

なんなんだ一体

とにかく何でも良いから結末を教えてくれ

「こういう話を知ってるかね。」

老人は わざと僕をじらすかのようにまた別の話を続けた


「昔、海の奥に住む 巨大な魚に呪われた若者がいた。」

僕はあきらめて聞くことにした

「若者の名は ネグロ。

ネグロはその呪いの証として 不老不死の体となった。どうだ?知ってるか?」

「不老不死?うらやましい。」

「そうか?」


「そりゃそうですよ。だって死なない体だ。最高じゃないですか。」


「だけど考えてみなさい。不死の者に残されたのは別れだけなんだよ。」


「・・・・・・・えぇ・・・まぁ・・」

僕は考えもなしに 声を発した

「出会ったぶんだけ 悲しみがある。残された者の悲しみは計りしれん。
最初の頃は ネグロも君みたいに 喜んださ。死なない体にな。
だけども、呪いだ。そうはいかない。
この呪いで苦しいのは そう、別れ。孤独。
どんなに愛した者がいても、必ず去っていく。
最愛の人との別れ。
それは海の底の底よりも暗いじめじめとした場所だ。
ネグロはやがて耐え切れずに人と接するのを拒んだ。」

僕はいつしか 老人の話に引き込まれていた

「そうするとな。こう考えるようになったんだ。

”生きてて何が楽しいのか?”とな。」


不老不死

死なない体

不死鳥

そんな話は山ほどあった

だけども、どれもハッピーエンドは無かったな・・・


「ネグロが呪われて250年が経った頃、彼は生きる事も死ぬ事もできなくなっていた。」

僕はうつむいたまま 耳を傾ける

「きっと、銅像のように 身じろぎせずにここにいても また250年という時はすぎるんだろう。

それは 自分がいてもいなくても同じだ。

あの魚はなんて酷い呪いをかけたんだ・・・・

ネグロの涙は もう地面に落ちるほどの量はなかった。」



部屋にぶら下げられている振り子時計の一つが

”ボーン・ボーン”と 低く小さな音を9回響かせた

おそらく、他の時計たちも数分後に同じ音を鳴らすのだろう


オレンジ色の電燈は かすかに 明滅を繰り返しては

また 落ち着いたように光を放った

「魚に、会いに行ったりはしなかったんですか?」

「そう。会いにいったんだよ。ネグロは。たまりかねて。

海深くの巨大な魚のもとへ。」

「そしたら?」

「魚は言った。”明日の夜、月が真っ黒に上がる頃、
丘に登れ。そうしたら呪いを解いてやる”とな。」

「ネグロは丘に駆け上がった。月は黒い空にさらに黒い穴を開けたように頭の上にあった。」

気付いたら全ての時計がなり終わった後だった

「ネグロは叫んだ”もう沢山だ。早く死なせてくれ”

黒い月が頭の真上まで来たとき、空から青い光が落ちてきた

そして ネグロは 眠るように倒れ込んだ。

おしまい。」



「ええ!?それでおしまい?なんか、もっとないんですか?

オチというか、教訓というか。」


「そんなものはない。昔話なんて えてしてそんなものだよ。」


「そ、そうかなぁ。・・・・ でも それと銀河鉄道と何の関係が。」

「・・わからんのか。今の話が 銀河鉄道そのものだ。」

「そのものって・・・・・まさか、その青い光が銀河鉄道!?」


「まぁ、実際は少し違うがな。」

「それって、、、、光が着たら死ぬんじゃぁ・・」

「知らなかったかい?銀河鉄道999の少年と女性は
とっくに殺された 母親とその子供だったんだよ。」

「え?」

「ようし。もういいだろう。今日のところは帰れ。
また、気が向いたら来るがいい。あしたもがんばって
働けサラリーマン。」


老人はそういうと、招きいれた客を追い出した

なんなんだ一体。くそ・・・

新手のセラピーか何かか?

でも金とられなかったな・・・

あした同僚に聞いてやろう

僕は 色々考えながら 家路についた

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もし不老不死になったら
一生遊べるお金持ってる人のように
なんもしないで過ごしそうだ。
  • 和尚 さん |
  • 2009/03/20 (00:57) |
  • Edit |
  • 返信
無題
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]hggb






l ll l jh8tv cvxs2
>re
>和尚さん

なんにもしなくて
なんにもしなくて
やがて
木になりました

的なね。

人間は なんでも もてあますと
間違った使い方するもんですね

そう、小室容疑者のように
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